伊達政宗のおばの大乗院は、夫と子の亡き後に女城主として、おいの政宗に徹底的に抵抗します。やがて、政宗との対戦を決意した大乗院は、家臣や領民たちと共に伊達軍を迎え撃ちます。
なぜ、血縁関係にある2人が戦わなければならなかったのでしょうか。今回の記事では、伊達政宗と大乗院との因縁の対決、おいによって狂わされたおばの生涯について、ご紹介します。
大乗院は、阿南の方(おなみのかた)ともいい、伊達政宗の父・輝宗の姉ですので、政宗にとっては実のおばにあたります。政略のために須賀川城(現在の福島県須賀川市)の城主・二階堂盛義に嫁ぎましたが、夫と息子たちに先立たれます。
気丈で、家臣からの信望も厚かった大乗院は、自ら城主となって、二階堂家を率い、須賀川の地を治めることになります。
その頃の東北地方では、おいの政宗が、奥州統一の野望を抱き、南奥羽へその勢力を拡大しようとしていました。1589年(天正17年)、政宗は、黒川城(現在の会津若松城。福島県会津若松市)の城主・蘆名(あしな)氏を滅ぼした後、その余勢をかって須賀川への進出をもくろみます。政宗は、さすがに実のおばを討つ気にはなれず、二階堂家の家臣を通して、大乗院に和睦を求めましたが、大乗院はそれに応じませんでした。
1589年10月10日の夜、政宗の計略を知った二階堂家の家臣や領民たちは、松明(たいまつ)をともして、須賀川の町の丘に集まってきました。「自分たちも須賀川城を守るために戦う」という意思を、城主の大乗院に示したのです。それを見た大乗院は、城中に家臣や町民を集め、おいの政宗と戦うことを伝えます。これに対して、二階堂家の家臣の1人が政宗への降伏を勧めます。しかし、大乗院は、政宗が攻撃した黒川城の先代城主・蘆名盛隆が大乗院の嫡子だったこと、政宗に滅ぼされた当時の城主・蘆名義広が大乗院の孫婿だったことなどから、政宗に降伏することをよしとはせず、籠城して伊達軍と戦うことを決意しました。
同年10月26日未明、政宗は大軍を率いて須賀川に侵攻します。伊達軍は、八幡崎口(はちまんざきくち)と雨呼口(あまよばりぐち)の2方向から猛攻撃をかけました。これに、二階堂軍も必死に防戦します。八幡崎口では、二階堂軍の須田美濃守や竹貫中務少輔(たかぬきなかつかさしょうゆう)らが伊達軍を迎え撃ちました。中務少輔家臣の弓矢の名手たちの活躍により、伊達軍は大きなダメージを受けます。もう一方の雨呼口では、二階堂軍の攻撃により伊達軍は敗走寸前まで追い込まれますが、政宗の側近で猛将として知られる伊達成実(しげざね)が最前線に出て戦うなどして、何とか形勢を立て直します。
一進一退の攻防が続くなか、二階堂家家老の1人だった守屋筑後守(もりやちくごのかみ)は、かねてから政宗と内通していたため、この機に乗じて決起しました。家臣に命じて、須賀川の町に火を放たせます。烈風にあおられ、町中は火の海と化しました。須賀川城も、多くの家臣と共に炎に包まれ、落城の悲運を迎えました。
支城の八幡崎城での戦いは、最大の激戦となりました。本城が落城した後も、二階堂家の兵は八幡崎城に踏みとどまって必死に抵抗するものの、ついに討ち果たされます。
こうして、鎌倉時代から400年間、南奥州の雄として権勢を誇ってきた名門・二階堂家は、幕を閉じたのでした。
須賀川城の落城が決定的になると、城主・大乗院は、裏切り者の守屋筑後守の妻子を刺して自身も自害しようとしましたが、家臣たちに制止されます。このとき、政宗は、家臣を遣わして、おばと侍女たちを救い出します。その後、政宗は、杉目(すぎのめ)城(現在の福島市)内に住居を与えておばを保護しました。そこでは、大乗院は、伊達家から出された食事には一切手をつけず、侍女の作った食事しか取らなかったそうです。大乗院のもとには、伊達家からお付きとして10人ほどの武士が送り込まれていました。しかし、付侍たちは、処刑されます。これに憤りを覚えた大乗院は、杉目城を去ります。
大乗院は各地を転々とした後、同盟者だった佐竹氏を頼って、常陸(現在の茨城県)の地へと身を寄せました。常陸では、佐竹家が用意してくれた屋敷で12年間、静かな余生を過ごしました。
その後、1602年(慶長7年)、佐竹氏の秋田転封に伴い、大乗院も秋田へ向かう途中、病に倒れ、思い出の地・須賀川の長禄寺(ちょうろくじ)において波乱万丈の生涯を閉じたのでした。長禄寺境内の墓所には現在、彼女のお墓と大きな五輪塔とが並んで立っています。
須賀川市では、毎年11月の第2土曜日に、須賀川城の戦いで亡くなった人々の霊を弔うため、「松明あかし」という火祭りが開催されています。日本三大火祭りの1つにも数えられる「松明あかし」は、二階堂家の戦死者だけでなく、伊達家の戦死者を含めて、鎮魂の思いを込め、市役所の東側にある五老山で行われています。
戦国の世に須賀川では悲運がありましたが、大乗院の生きざまは、人々の心に深く刻まれ、今日まで語り継がれています。
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