2022年5月に愛玩動物看護師法が施行され、新しい国家資格として「愛玩動物看護師」が誕生しました。愛玩動物看護師は、動物病院などにおいて、ペットとの関わりが深い職業です。
そこで今回は、愛玩動物看護師を取り上げ、資格誕生の背景、業務範囲や一日の勤務内容、今後期待されることを中心に、ご説明します。
「ペットは家族の一員」という考え方が一般的になりつつあるなか、動物医療が高度化・多様化していることから、専門的な知識が求められるようになっています。
こうした課題に対応するために、愛玩動物の診察・治療において獣医師と共にチーム医療体制を築くことを目的として、愛玩動物看護師が資格化されました。
愛玩動物看護師の受験資格は、指定を受けた大学や専門学校で3年以上教育を受けることによって得られます。仙台市内にも、愛玩動物看護師を養成する専門学校が複数あります。履修が必要な専門科目のうち、「ペット関連産業概論」では、ペット飼養のニーズや実態を理解したうえで、ペット霊園分野を含めたペット関連産業の現状と課題、職業倫理などを学びます。
卒業、必要な知識・技能の修得により受験資格を得た後、愛玩動物看護師国家試験に合格して登録することにより、愛玩動物看護師になれます。愛玩動物看護師の登録者は2024年12月時点で、約2万2千人です。
愛玩動物看護師の勤務先としては、動物病院などの愛玩動物診療施設が約8割と最も多くなっています。そのほか、ペットショップ、トリミングサロン、ペットホテル、動物介護施設、動物園、動物愛護団体などに、またはブリーダーやペットシッターとして、勤務している愛玩動物看護師がいます。
愛玩動物看護師は、どんなお仕事をするのでしょうか。
愛玩動物看護師の業務は、動物の診察・治療の補助や、入院動物の世話・看護だけでなく、日常の手入れやしつけ、高齢動物のケア、栄養管理に関する専門的なアドバイスなど、多岐にわたります。
愛玩動物看護師の業務内容は、次のとおりです。
1.愛玩動物の診察・治療のサポート
● 獣医師の指示の下に実行する採血、投薬(経口によるもの)、マイクロチップ挿入、カテーテルによる採尿など
2.愛玩動物の世話、その他の看護
● 入院動物の世話、診断を伴わない検査など
3.愛玩動物の愛護・適正な飼養に関するアドバイス、その他の支援
● 動物の日常の手入れに関するアドバイス、グルーミング、爪切り、歯磨きなど
● 人と動物の共生に必要な基本的なしつけ、適切な社会化を促すための教室の開催
● 動物のライフステージに合わせた栄養管理、ペットショップでの食事相談など
● 災害発生時の被災動物適正飼養のための支援、地方自治体との連携協力
ほか
※農林水産省WEBサイト(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/kangoshi/files/q4.pdf)に掲載された図を一部改変
次に、動物病院に勤務する愛玩動物看護師の一日を見てみましょう。
● 8:30~ 勤務開始
|診療・検査・手術の予約、入院管理の確認、入院動物の処置など
● 9:00~ 午前診療開始
|受付、調剤、保定(動物を治療する際に、動かないように体をおさえておくこと)、体温測定、血液検査や尿検査など
● 13:00~ 手術
|手術に必要な機器の準備、麻酔の介助、動物の状態の観察、手術の記録、器具の洗浄など(交代でお昼休憩を取る。)
● 16:00~ 午後診療開始
|(午前診療とほぼ同様)
● 19:00 診療終了、退勤
入院動物の処置、翌日の診療に備えた備品の確保、片付けなど
※大岳美帆著『愛玩動物看護師になるには』(ぺりかん社発行)に掲載された図を一部改変
愛玩動物看護師の資格を定めている「愛玩動物看護師法」では、「愛玩動物」は、「犬、猫、その他政令で定める動物」と規定されています。「政令で定める動物」とは、「愛玩鳥(オウム科全種、カエデチョウ科全種、アトリ科全種)」を指します。「愛玩鳥」には、インコ、ブンチョウやジュウシマツ、カナリアなどが含まれます。
本法に規定されている愛玩動物には、ハムスター、ウサギ、モルモット、カメといった、ペットとして飼われている比較的ポピュラーな小動物は含まれていません。
愛玩動物看護師の業務のうち、愛玩動物の診察・治療のサポートは、愛玩動物看護師(および獣医師)だけが実施可能です。このことから、ハムスターなどの、愛玩動物として法律に規定されていない動物は、愛玩動物看護師が診察・治療をサポートできないことになります。では、これらの動物に対して、愛玩動物看護師は何もしてあげられないのでしょうか。いや、そうではありません。診察・治療のサポート以外の業務、例えば、日常のケアや栄養管理などの飼い方に関するアドバイスやサポートはできます。
愛玩動物看護師法は、5年ごとに見直すことになっています。本法に規定されている愛玩動物の種類や診察・治療の補助範囲は今後、拡大される可能性もあります。
愛玩動物看護師は、飼い主の方とペットの双方に寄り添う、身近な存在です。専門的な知識や高い技術力を持っている愛玩動物看護師が、動物の診察や治療などに関わることで、より質の高い動物医療が提供できます。
さらに、愛玩動物看護師は、
● 日常的な健康管理が必要なペットショップやペットホテルなどの施設で、指導的な役割を果たす動物取扱責任者になる
● 動物介在教育※1の一環として、小学校などを訪問して学習活動をサポートする
● 動物介在活動※2の一環として、高齢者施設などでセラピー活動をサポートする
など、診察・治療のサポートや看護以外にも、幅広い活躍が期待されています。
※1, 2 「動物介在教育」および「動物介在活動」の詳細につきましては、過去の記事『「アニマルセラピー」をご存じですか?』(https://www.izumi-pet.com/pet_information/2025/02/18/)をご覧ください。
仙台市泉区の「いずみペット霊苑」では、ペットの火葬から、納骨、供養まで、スタッフ一同、心を込めてサポートいたします。
仙台でペットの火葬のこと、お墓のことをお考えの方は、「いずみペット霊苑」までお気軽にご相談ください。
↓↓↓お問い合わせは、こちらからどうぞ↓↓↓