仙台市宮城野区には、「苦竹(にがたけ)」という珍しい地名があります。なぜ、あのような地名が付いたのか、以前から気にはなっていました。また、「苦竹」と聞けば、「苦竹のイチョウ」を思い浮かべる方もいることでしょう。
そこで今回は、「苦竹」という地名、苦竹の町の移り変わり、そして、霊験あらたかな「苦竹のイチョウ」について、紹介していきたいと思います。
いつから、「苦竹」と呼ばれるようになったのかは、はっきりとは分かっていません。
江戸時代に仙台藩が領内の村々の様子を把握するために提出させた『安永風土記』には既に、「苦竹」の地名が出ています。
一説によれば、現在の陸上自衛隊仙台駐屯地付近一帯は、竹やぶが茂っていたそうです。その竹やぶを構成する真竹の竹の子は、皮に紫色の斑点が付いていて、苦い味がしたとか。そうしたことからでしょうか、近隣住民は、「真竹」を「苦竹」と書いて「またけ」と読んでいました。ところが、後世になって、「苦竹」を文字どおり‘素直に’「にがたけ」と読むようになった結果、苦竹の地名が生じたとのことです。
ここまでのお話は、あくまでも1つの説にすぎません。いささか創作じみた印象がないでもありません。真実は、いまだ闇の中といったところでしょうか。
仙台藩は、苦竹に御米蔵(苦竹御蔵)を置いていました。藩政時代には、現在の陸上自衛隊駐屯地付近から蒲生(がもう)の貞山堀に通じる堀に引き船(曳き舟)を浮かべて、仙台北方の米どころから年貢米を運搬、これを苦竹御蔵に納めていたそうです。堀の終点である御船溜(おふなだめ)の周りに立ち並ぶ米蔵に向けて、引き船の船員たちが、「エイアホオ、エイアホオ」と掛け声を発しながら船を引きました。仙台藩内の食糧のほとんどが、苦竹御蔵に貯蔵されていたことになります。苦竹は、江戸時代、大藩の食糧を預かる重要な地だったのですね。
「苦竹」といえば、自衛隊駐屯地を連想する方がいるかもしれません。陸上自衛隊仙台駐屯地は、苦竹のシンボルともいえます。
苦竹の町は、昭和の戦時中から、旧陸軍、米軍、陸上自衛隊と、軍事関係の施設と共に歩んできました。
第二次世界大戦のさなかにあった昭和16年(1941年)に、陸軍造兵廠(しょう)が設置されてから、宮城電気鉄道・苦竹駅周辺には商店や飲み屋ができたり、工場地帯が形成されたりするなど、苦竹は急速に発展しました。
戦後、造兵廠跡が米軍キャンプになると、基地の目の前にあった田んぼが埋められ、「苦竹小路」と呼ばれる歓楽街が形成されました。夜には、田園に立ち並ぶ飲食店やバーのネオンが煌々(こうこう)とともります。風紀が乱れ、苦竹のイメージが悪くなった時期がありました。しかし、昭和40年(1965年)ごろには、幅を利かせていた怪しげな商売はほぼ一掃され、健全な町を取り戻しました。
米軍が去ったのち、造兵廠跡は、陸上自衛隊仙台駐屯地と工場地帯とに分かれました。
現在、JR仙石線・苦竹駅の下を国道45号線が走ります。駅ホームと線路の高架化によって、踏切待ちの渋滞が解消され、周辺もぐんとにぎやかになりました。
JR仙石線・陸前原ノ町駅の南側一帯は現在、「銀杏町(いちょうまち)」という地名です。
その銀杏町の一角に、国指定の天然記念物「苦竹のイチョウ」があります。
「苦竹のイチョウ」は、樹齢が1200年以上ともいわれています。天平時代に聖武天皇の乳母の遺言により植えられたという伝説もある巨木です。この大イチョウの特徴は、何といっても、木から乳のように垂れ下がった、大小おびただしい数の気根。「気根」は、乳根や乳柱とも呼ばれ、樹齢数百年以上のイチョウに見られる根の一種です。そうしたたたずまいから、「乳イチョウ」とも呼ばれ、地域の方々に親しまれています。古樹に宿るとされる姥神(うばがみ。山の女神)のもとには、今も、「子どもの健やかな健康を願い、母乳がよく出ますように」と祈願する女性の方たちの姿が見かけられます。
「苦竹のイチョウ」は、「苦竹」を冠していますが、実は現在、宮城野区苦竹にはありません。「苦竹のイチョウ」がある一帯は、昭和40年(1965年)11月に、大イチョウにちなんで、「苦竹(原町苦竹字町東)」から「銀杏町」に町名が変えられたのです。
最後に、もう一つ、ここでお伝えしたいことがあります。「苦竹のイチョウ」は、樹齢1200年以上とご紹介しました。しかしながら、日本に自生していなかったイチョウが原産国の中国からわが国に持ち込まれたのは、室町時代の1400年代以降であるとの説が一般的です。その説をとると、日本には、樹齢が700年以上のイチョウは存在しないことになります。でも、そこはロマン。おおらかな心と、畏敬の念をもって受け止めたいですね。
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