近年、日本では、海藻が生い茂る藻場(もば)が消失する「磯焼け」が大きな問題となっています。その原因の一つとしては、イスズミやアイゴといった海藻を食べて藻場を荒らす「食害魚」の増加が指摘されています。この食害魚は、餌の海藻に由来する特有の磯臭さがあるため、食用としてはほとんど流通していません。そうした課題を解決するために、立命館大学発のスタートアップであるオーシャンリペア株式会社(福岡県福岡市)が、海の嫌われ者だった食害魚を主原料としたドッグフードを開発、2024年9月1日から販売を開始しました。
九州の海では、イスズミやアイゴなどの食害魚が海藻を食べ尽くして、藻場が砂漠のようになっている場所が増えています。藻場の減少により、海藻が取れないばかりでなく、魚類・貝類のすみかや産卵場所が少なくなっています。
イスズミやアイゴは、漁師の方の網にかかっても、値段が付かず売り物にならないため、その多くは、そのまま海に放されたり、廃棄されていたりしていました。漁師の方のお話によると、イスズミが定置網に一度に何トンも取れてしまったこともあったそうです。
また、全長70cm前後になるイスズミは、群れをなして岩礁域を泳ぎ回っているため、釣り客からは「外道」と呼ばれています。
では、実際に、海の「厄介者」を食べるとどうなのでしょうか。イスズミを刺身にして食べてみると、口いっぱいに磯臭さが広がります。煮ても焼いても、特有の臭みが残ります。
他方で、イスズミやアイゴなどの食害魚が侵入できないように、防護網を張り巡らせた磯場の湾内では、ヒジキやカジメといった海藻が成長する、という事例も報告されています。食害魚の影響がなければ、藻場の再生が進むことが期待できます。
こうした海の「厄介者」を原料としたドッグフードがこのたび開発されました。ここからは、そのドッグフードを紹介していくこととしましょう。
イスズミ、アイゴは、低カロリーで、かつ脂質の低い白身魚です。
この点にオーシャンリペア社は着目。海の「厄介者」である食害魚をドッグフードの原料として使えば、ヘルシーなフードができるのでは、と同社は考え、飼料メーカーなどと開発に取り組んだ結果、製品化にこぎ着けました。同社によると、日本国内産の魚が主原料で、かつ魚種が明確なドッグフードは少ないとのことです。
オーシャンリペア社が開発したドッグフードは、鶏肉や牛肉を主原料とした一般的なドッグフードと比べ、脂質が5%~8%低いのが特徴です。低脂質は、シニア期の犬の健康維持や「涙焼け※」の予防などにもつながります。
鶏肉や牛肉を主原料としたドッグフードが与えられている犬の約30%は、アレルギーを発症するというデータもあります。これに対して、オーシャンリペアのドッグフードは低アレルゲンであるため、犬がアレルギーを引き起こす可能性は少ないと考えられます。
また、オーシャンリペア社のドッグフードは、犬の胃腸や腎臓への負担が少ないのもメリットです。
※涙焼け:犬の目の周りの毛が茶色く変色する現象をいいます。結膜炎や鼻涙管の異状などによって涙の量が多くなると、起こりやすくなります。
オーシャンリペア社は、九州の水産会社とタッグを組み、長崎県五島市沖で取れたイスズミ、アイゴを新鮮なうちに食用に加工&処理。臭みがなく、魚本来のうま味成分を残した商品を完成させました。
人には敬遠されている食害魚ですが、ドッグフードにしてみると、磯の香りに誘われるのか、ワンちゃんたちの食いつきは上々のようです。一般的なドッグフードは、犬の嗜好(しこう)性を高くするため、脂質を比較的多く含んでいます。メーカー各社の本音は、できる限り、脂質成分の含有量を上げたい、ということでしょう。しかし、オーシャンリペア社が開発したドッグフードは、脂質成分の含有量が低くても、ワンちゃんたちの嗜好性が高いことが分かりました。
飼い主の方(約120人)に実施したモニター調査によれば、92%の飼い主の方が、愛犬の食いつきの良さを実感したとのことです。また、1か月間の調査では、90%の愛犬がフードを継続して食べました。オーシャンリペア社のドッグフードが、犬がおいしく食べ続けられるフードであることが分かります。
オーシャンリペア社のドッグフードを与えた飼い主の方の声を、以下に数例ご紹介しましょう。
「好き嫌いが多い犬だったが、すごくよく食いついて、おいしそうな様子だった」
「普段は一般的なドッグフードは食べないが、2匹ともがっついていた」
オーシャンリペア社のドッグフードは、生後2か月の子犬からシニア期の犬まで食べられる、全年齢対象の総合栄養食です。ノンオイルコーティングですので、ふやかしやすくなっています。消化やかむ力に不安があるワンちゃんにも、安心して与えられますね。
オーシャンリペア社は、漁師の方から、イスズミを1kg当たり100円で買い取ります。そうすることで、イスズミの駆除につなげるほかに、漁師の方の新たな収入源を生み出します。
また、イスズミの数が減少することにより、藻場の再生が見込めます。再生した藻場では、アワビやサザエ、伊勢エビなどの水産資源が育つとともに、海藻が光合成して海中の二酸化炭素を吸収するため、温室効果ガスの削減にもつながります。
犬だけでなく、環境にも優しいドッグフードは、全国のペットショップや量販店、インターネット通販などで取り扱っています。オーシャンリペア社によると、2029年8月期に、売上高1億円を計画しているとのことです。
また、同社は、ドッグフードを足が掛かりに、2025年秋に、食害魚を原料としたキャットフードの発売を目指しています。
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